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たるたる日和
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[映画]ミリオンダラー・ベイビー
やってきました自己満足映画評。






光と闇。

それがこの映画のテーマなんでしょう。画面効果にも強い光とそれによってできる影が効果的に使われていて、ストーリー全体のテーマとの連動で映画全体に一本の芯が通っているような印象を受けます。

技術的にも、顔だけ影にして含みを持たせたり、顔以外は影にすることで深刻な雰囲気を演出したり、影の部分をアップにすることで次のシーンへ効果的に飛んだり、基本的だけど巧みな構成が光ります。

前半のストーリーはごくありふれたもの。一人のガッツ溢れる女性が、名トレーナーの協力を得て、ボクシングのスターダムにのし上がっていく。女子ボクシングという題材が少し目新しいだけで、特別インパクトを受ける内容ではありません。少し頭のおかしな不幸な青年デンジャーや、クリントウッド演じるトレーナーが教会に足繁く通うシーンなど、後半への複線ともいえる意味深なシーンはいくつもありますが・・。

後半は一転して静かな場面が続きます。僕は映画館でもこの映画を観たのですが、あまりに静かなので、あたりから息苦しい息づかいがきこえてきたものです。台詞も音楽も少ない後半部分ですけど、語りかけてくる内容は前半より確実に濃いです。とにかく、この後半部分がこの映画を名作たらしめているのは間違いないです。

冒頭でテーマは光と闇だと書きましたけど、もうひとつ、もっと大きなテーマがあります。それは「人間の愛」です。師弟関係・親子関係・友人関係・・様々な人間模様の中にきめ細やかな愛情が描かれています。この映画は全体的に暗いのですが、見終わった後どんぞこの暗さが残らないのは、こういった要素に満ちているからでしょうね。

愛ってテーマは言っては何ですけど陳腐ですよね。当たり前のように溢れていそうなテーマ。でも、陳腐であるが故に見せ方によっては、チープ(安っぽく)で嘘くさくなってしまうんですよね。それを、ここまで見せる映画構成の腕は見事と言うしかないです。イーストウッド監督作品にはあまり良いイメージがないのですが、この映画を見終えた後、評価が180度転換しましたよ(それはおおげさだけど)。

それにしても、イーストウッドはほんと渋いですよね。顔だけじゃなくて、立ち姿が最高に格好良い。あんな老年になりたいものです。
by lars.ff11 | 2006-06-06 12:24 | 音楽&ゲーム