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[小説]羊をめぐる冒険(村上春樹)
こんにちは。

好きな作家の小説を読み進んでいくとき、デビュー作はきちんとおさえておくほうですか?

僕は、デビュー作ってそんなに興味がわかないんですよね。現在進行形で作品が発売されていくというならともかく、それなりの数の作品が出揃っている作家の小説などを選ぶときは、面白いと評判の高い順に読んでます。そのへん、人によって違うと思うんですけどね。どうなのかなぁ、と思って。

村上春樹さんのデビュー作は、「風の歌を聞け」。いかにも村上春樹さんらしいネーミングの小説で、中身も最新作まで至るセンスの原型がちりばめられていて、行間にイラストをさしこむなど、遊びごころもなかなか。一気に読むことができる良作だと思います。

続いて、「1973年のピンボール」。これは、第一作の後日譚にあたる作品で、読んだ感じアイディアの原型がちりばめられているとでも言いましょうか・・。言い方を変えれば、個々のアイディア自体はすごく面白いけど、それらが有機的にからんでいないような印象も受けます。最後のあたりで、ようやく捜し求めたピンボール台とご対面した場面のシュールさは光っていると思いますけどね。

さらに続いて「羊をめぐる冒険」。この3作品をあわせて、初期三部作と呼ばれているみたいです。単品でも楽しめるけど、前の作品を読んでおくと「鼠」や「ジェイズバー」なんかに思い入れがいつの間にかできてしまって、より作品を楽しめるというか。なんだか不思議な感じです。

ただ、この「羊をめぐる冒険」は、前の2作と並べて語ることはできない作品だと思います。ページ数が圧倒的に違うのはもちろんですが、小説としてきちんとまとめようという強い意志を感じるんです。前の2作は良くも悪くも、村上春樹さんの才能があふれだした一部という一面もあって、小説としては中途半端なところもありますから(そこが良さでもあるのですが)。

この「羊をめぐる冒険」は、村上春樹さんいわく、専従小説家としてのデビュー作です。前の2作は、ジャズバーを経営しながら、そのかたわら小説を書いていたようですが、この作品からは、店を閉め、小説一本にしぼって書き上げていくことになったそうです。

そのせいか、全体としてのまとまりが良く、謎の解決を見ずに残りページ数が減ってきてはらはらする村上春樹さんの小説にしては珍しく(?)、大きな問題が解決されて終わるのが特徴といえば特徴かな?この作品、僕はとても楽しめました。「いるかホテル」がいい味出してますね・・。あと、読後、無性に寂しくなるような終わり方なのも素敵です。

ちょうど冬にもってこいの小説ではないでしょうか。色々と。
by lars.ff11 | 2008-12-09 00:21 | 音楽&ゲーム