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[小説]国境の南、太陽の西(村上春樹)
こんにちは。

ざあざあとある時間帯に集中的に雨が降る日が続いたと思ったら、じめっとした暑さが戻ってきた今日この頃。あの雨が秋雨だったら、よかったのに。

今回は、最近読んだ村上春樹さんの「国境の南、太陽の西」について少し語ろうかと思います。読んだ後ももやもやしていて、うまく表現できるかはさておき、自分なりに感銘を受けた作品には、なにかしら形にしてみたくなるんです。なぜでしょう。


はじめに、この小説は、村上春樹さんの小説としては異質です。村上春樹さんらしい「あっち」と「こっち」という話は出てきますが、さらりとしていて、たとえば「ねじ巻き鳥」や「スプートニク」などと比べるとその差は歴然としてます。感覚的には「ノルウェー」に近いかな・・。でも、違う。

小説は、「僕」の出生から静かに始まります。そして、小学生から高校生まで。島本さんとイズミとの出会い、別れ。ページにすると60程度の導入部。さらりと読めてしまいますが、後の伏線をきっちり張っていますし、なにより「僕」の本質がどんなものなのかを十分に伝えています。それは、後の展開を追う読者の頭の片隅に影を落とすのです。


「まずまずの素晴らしいものを求めて何かにのめり込む人間はいない。九の外れがあっても、一の至高体験を求めて人間は何かに向かっていくんだ。そしてそれが世界を動かしていくんだ。」(文庫版P148、僕の発言より)


井戸の底にいたようだと表現されている大学生から会社勤め、そして、結婚し仕事も成功して子供が生まれて、「僕」は大切にすべき世界を構築していきます。ここまでが、しこみ。あとは、島本さんとの再会から物語は速度を増し、一気にラストへとなだれ込みます。

すらすらと読めて、それでいて吸い込まれるような文章は村上春樹さんの才能だと思いますが、こういう構成を実に巧みに演出するきめの細かさは、隠された膨大な労力に支えられているんじゃないかな、きっと。

大切な家庭と自分にあった仕事、守るべきものを抱えながら、島本さんに傾倒していく「僕」。この先は読んでからのお楽しみでしょうか・・。

タイトルにある「国境の南」と「太陽の西」は、小説中の隠喩です。しかし、はっきりとそれと言っている場面は特になく、読んだ人それぞれで答えが違うかもしれません。僕的な解釈では、「国境の南」は理想の生活(僕の抱える家族・仕事)、「太陽の西」は島本さんに象徴される「あっち」の世界。

「国境の南」には行くことができます。ただ、その意味を知るとなーんだとがっかりしてしまう一面もあります。「太陽の西」は行くことができません。行こうとすれば、途中で死にます。だから、永遠の憧れであり続けるんです。

最期は意味深で寂しげな終わり方をするのは「ノルウェー」と似てますね。読後感もどこか似ている気がします。僕的な感想ですが、「ノルウェー」の緑は主人公を最後に許していると思いますが、「国境の南」の有希子は許していないと思います。

なんとなくですけどね。最後に「そっと手を置く」のはやはり・・。
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by lars.ff11 | 2008-09-02 00:04 | 音楽&ゲーム