たるたる日和
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[F1]シューマッハに思うこと
後世において、伝説のドライバーとして語られることが確実なドライバーが去ったということに、未だに実感がわかない。

新しいシーズンが始まってしまえば、そういった類の感傷はなくなるとは思う。それにしても、セナが亡くなったときほどの、ある種のニュースの盛り上がりに欠ける気がするのは気のせいではない。悲しいけど人気という意味では実力ほどには得られなかった人だったからかな。だからといわけでもないが、僕自身の見方で語ってみたいと思う。






僕がF1を見ていた時期は、ちょうどシューマッハの時代とかさなる。ウィリアムズの開発したアクティブサスペンション全盛の時代(懐かしい!)で、電子制御で自在にサスペンションの油圧を変えられるアクティブサスペンションのデモンストレーションを見て驚いたものだ。まるで生き物のようにうねうねと姿勢を変えるその姿は、元々ハイテクノロジーの塊だったF1マシンが、さらにその度合いを深めていくことを容易に想像させたからだ。そんな時代(91年)にシューマッハはデビューした。

セミオートマティックミッションなど、次々と新しい技術が投入されていく中で、ドライバーに求められる質が変わりつつあったのだろうか。それとも、シューマッハという新時代を象徴するドライバーがその後のドライバーの質を変えてしまったのだろうか。あるいはその両方というのが正しいのか。古い時代のドライバーは「マシンを早く走らせること」が最大かつ仕事の大半を占めていた、職人のような気風があった気がする。マシン開発のテスト走行まで精力的に行うドライバーは稀であったと言って良い。そこにシューマッハは新風を吹き込んだ。

チームクルーを纏め上げ、テスト走行を精力的に行い、速いマシンを作り上げていった。最終的には「チームシューマッハ」と呼ばれる技術集団を纏め上げるに至るほど徹底していた(シューマッハがチームを移籍するとエンジニアまで移籍してしまうのは有名)。そういった徹底した合理主義と高い知性に裏打ちされた洞察力や決断力で、常勝とは言えないようなチームを優勝争いに加えるまでに強くしていくスタイルは革新的ですらあった。



マンセル、プロスト、セナといった古い時代を象徴するドライバーは次第に姿を消していき、シューマッハだけが残った。そしてシューマッハ全盛の時代が訪れ、「シューマッハが強すぎてつまらない」といった意見まででるほど強かった。そこには人間臭かった職人肌のドライバー達に対する郷愁も含まれていたような気がする。彼らに比べるとシューマッハは感情の起伏に乏しく、彼に続いたドライバー達にも、機械的な印象があったからだ。

でも、それはシューマッハの責任ではもちろんないと思う。セナ亡き後のウィリアムズ勢であったデーモン・ヒル、ジャック・ビルヌーヴなどでは、役不足なのは歴然だったし、ライバルと呼びえたのはミカ・ハッキネンくらいだったような気がする。引退後のインタビューでも、「自分に比肩しうるドライバーはそう多くはなかった」と語っているし。引退前にはフェルナンド・アロンソにタイトルを明け渡したが、力でぶっちぎられたという印象はない。



圧倒的な強者が君臨するスポーツよりも、適度な競争のあるスポーツの方が健全なのはスポーツの種類を問わない。圧倒的なシューマッハの前に立ちはだかったのは、F1を主催するFIAだった。シューマッハも勝利のためなら反則スレスレの戦いを挑むことを厭わないこともあり、接触事故でタイトルを剥奪されたり、出場停止になったり、レギュレーションが変更になったり。シューマッハの側からすると「陰謀」らしいけれど、FIAの努力もわかる気がする・・それくらい圧倒的だったからだ。

反則とされた事柄については、故意とまでは行かずとも「こっちは当たっても構わないんだぜ!」くらいの勢いで寄せたんじゃないかと想像する。相手が引けば圧倒的なアドバンテージを得られるわけだから。引かなかったからぶつかっちゃったけど。



チャンピオン獲得回数は、ファンジオの5回の記録を破り、7回で歴代1位。
優勝獲得回数は、プロストの51勝の記録を破り、91勝で歴代1位。
ファステストラップ回数は、プロストの41回の記録を破り、75回で歴代1位。
ポールポジション獲得回数は、セナの65回の記録を破り、68回で歴代1位。
・・・改めて見ると怪物的な記録群。

この記録群を前にしても、シューマッハに「速い」という表現ではなく「強い」という表現がつかわれるのは、他の車と比べて圧倒的に速く、オーバーテイクを敢行することが少なく、ピットストップを効果的に使ったチーム戦略によってレースを組み立てる能力が目立っていたためだろう。レースなんだから抜きつ抜かれつというシーンを求めてしまいがちだが、そこには大きなリスクも伴う。勝つために全てを捧げる姿勢のシューマッハならば、「速い」という印象さえ勝利に比べたら薄っぺらなものだったのかもしれない。



シューマッハが嫌いという人がかならずといってよいほど挙げるのが、チームオーダーをフル活用していることだろう。ハーバート、アーバイン、バリチェロ、マッサなど、トップチームのシートを獲得し勝つ能力のあるドライバーから道を当然のごとく開けさせる姿勢は、確かに美しいものとは言えなかった。しかし、ウィリアムズのように両ドライバーの激突によるポイントの取りこぼしがなかったのも事実(そういうマヌケなとこがウィリアムズの好きなとこなんだけどね)。

それに、クラッシュした際両足を骨折し数戦欠場を余儀なくされたシーズン(99年)では、優勝争いを繰り広げるアーバインの後方にピタリとつけ、マクラーレン勢を巧妙にブロックし続けた例もある。チームオーダーと呼ばれた一連の行動が、自己中心主義からくるものではないのは明らかだろう。全てはチームの勝利のために。

もちろん賛否両論あるのは当然だが、勝利という目標のために、ひたすら努力し、犠牲を惜しまず邁進するその姿は、一視聴者としては見える部分に限られていたが、見えない部分でも多大な労力を惜しんでいないことは明白で、そういった妥協を許さぬ力強い姿勢は、やはり過去の伝説のドライバーと並び賞されるべき存在であると言える。



偉大なドライバーの引退に乾杯!
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by lars.ff11 | 2007-01-11 12:56 | スポーツ